学者の議論と現場のディレクターの意見がかみ合うことは、残念ながら日本の報道界ではあまり想像できないのである。
ヴェトナム戦争の経験から多くを学んだのは、米国では政府当局の方だったようである。
湾岸戦争で徹底的なメディア管理を行い、「ピンポイント爆撃」の映像で「クリーンな戦争」を演出したことは、われわれの記憶にも鮮明に焼き付いている。
とにかく、政策当局とジャーナリズムの間にはこれだけの緊張関係や複雑なせめぎ合いがあるのだということを学習するのは、将来メディアや広報の仕事を志す学生にとって意味のあることだと思った。
ニューヨークでJとともに有名な音楽大学、MSMの卒業作品で、97年最高の評価を得たのは日本人の学生が作った現代音楽だった。
実はピアノなどなくても「頭に浮かんだ音を楽譜に書ける」Iさんは、二月卒業予定の同大学院修士課程を1科目だけ継続しながら、すでにC大学大学院音楽学部博士課程に入学し、新たなステップを踏み出している。
最初はピアニストを目指しN芸大ピアノ科に入るが、進路変更して愛知県立芸大の作曲科に入り直して卒業後、アメリカに渡った。
日米合わせ4つ目の音大である。
卒業作品のCDを聴かせてもらった。
オーケストラの演奏だが、響きやリズムは邦楽を祐俳とさせる。
尺八のように聞こえるのも、実はクラリネットだったり。
水墨画の風景が目の中に浮かぶ。
自然の中にゆったりとひたっているような、幽玄の世界を想起させる音である。
この曲は、実はH画伯の絵を音楽で表現してみようと試みたものだった。
アメリカに来てはじめて自分の根っこを発見した「アメリカに来るまでは、自分の作品が一日本的」だなんて、一度も思ったことがなかったんです。でも、ここではみんなから、日本の音だね、って言われる。不思議ですよね。それからは、雅楽の音も意識して使ってみたりしているんです」「ここでは、自分とまったく違うタイプのものであっても、いいものはいいと、はっきりほめてくれるんです。日本だとつい派閥とか方向性とかにしばられて、『違う』とマイナスの評価になってしまいがちだけれど」むしろ、西洋文化、西洋の「音」だけに浸ってきた学生たちの中で、「異質であること」はメリットにもなる。
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